
1913年、中国・大連に生まれる。5歳の時、父の手ほどきで初めて墨と筆に触れ、以後独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し、墨で抽象を描き始める。1956年渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリ、シンシナティ他で個展を開催。58年に帰国して後は、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や、東京・芝にある増上寺大本堂の襖絵などの大作の一方で、リトグラフや装丁、題字、随筆を手掛けるなど、活動は多岐にわたった。1950年代の激しい筆致はやがて叙情性をたたえ、80年代から90年代にかけては、線はより洗練された間を構成していった。
さらに、面と線は寄り添い、朱はあくまで高貴に、墨は静かに鋭く、あるいは控えめに層をなしていった。
2005年、ニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれるなど、晩年まで精力的な活動を続けた。
桃紅水墨の現代的かつ先鋭的な造形表現は、多くの人々を魅了している。
1913年 | 3月28日、大連に生まれる |
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1954年 | 「日本現代書道展」(ニューヨーク近代美術館) |
1956年 | 個展(養清堂画廊、東京) 渡米、ニューヨークに滞在 個展(スエゾフ・ギャラリー、ボストン) |
1957年 | 個展(バーサ・シェイファー・ギャラリー、ニューヨーク) 個展(タフト美術館、シンシナティ) 個展(アート・インスティテュート・オブ・シカゴ東洋館、シカゴ) 個展(ギャラリー・ラ・ユーヌ、パリ) |
1958年 | 個展(ジェファーソン・プレイス・ギャラリー、ワシントン) 帰国 |
1961年 | 第6回サンパウロ・ビエンナーレ招待出品 「ピッツバーグ国際現代絵画彫刻展」 (カーネギー・インスティテュート、アメリカ)で特選を受賞 |
1965年 | 個展(ベティ・パーソンズ・ギャラリー、ニューヨーク) 以後、68、71、77年に開催 国立京都国際会館2階のためにレリーフ《展開》と壁画《出遇》を制作 |
1970年 | 東京都港区南青山に転居し、現在に至る |
1973年 | 「戦後美術の展開-抽象表現の多様化」展 (東京国立近代美術館) |
1974年 | 増上寺(東京)大本堂、ロビーのために壁画を、道場のために襖絵を、エレベータ内部のためにステンレスエッチングを制作(東京) |
1977年 | ワシントン駐米日本大使館公邸のために壁画を制作 |
1979年 | 「岡田・篠田・津高-20世紀日本抽象絵画三人のパイオニア-」展 (フィリップス・コレクション、ワシントン 以後米巡回) 随筆集『墨いろ』(PHP研究所)出版で第27回日本エッセイスト・クラブ賞受賞 |
1983年 | 「篠田桃紅書 守屋多々志画 小倉百人一首展」(三越本店、東京 以後国内を巡回) |
1989年 | 個展(有楽町アート・フォーラム、東京) |
1992年 | 「書と絵画の熱き時代・1945-1969」((財)品川文化振興事業団O美術館、東京) 回顧展「篠田桃紅 時のかたち」(岐阜県美術館) |
1993年 | 御所・御食堂のために絵画を制作 |
1994年 | 「戦後日本の前衛美術展」(横浜美術館、グッゲンハイム美術館、サンフランシスコ美術館を巡回) |
1995年 | 「戦後文化の軌跡1945-1995」展(目黒区美術館 他を巡回) |
1996年 | 個展「TOKO SHINODA VISUAL POETRY」(シンガポール国立近代美術館) |
1997年 | 個展(画廊光芳堂、岐阜)以後、99、02、04(2回)、06年開催 |
1998年 | 個展(アネリー・ジュダ・ギャラリー、ロンドン) NHK BSスペシャル 「墨色に心を託して-抽象画家 篠田桃紅」放映 |
1999年 | NHK「土曜美の朝─墨で描くこころのかたち─」放映 東京文化会館のために名称ロゴを作成 |
2000年 | 『桃紅 私というひとり』(世界文化社)を刊行 |
2002年 | 『桃紅えほん』(世界文化社)を刊行 |
2003年 | 個展「篠田桃紅 朱よ」展(原美術館、東京) 皇后陛下行啓 関市立篠田桃紅美術空間開館 *開館式には高円宮久子妃殿下臨席。以後、年数回篠田桃紅作品展開催 |
2010年 | 「篠田桃紅 あゆみ」展(関市立篠田桃紅美術空間)天皇皇后両陛下行幸啓 |
2012年 | 個展 「篠田桃紅の世界展─文字とかたち─」(日本橋三越、東京他) 個展「篠田桃紅 作品展」(銀座三越、東京)皇后陛下行啓 |
2013年 | 回顧展「篠田桃紅 百の譜」 (岐阜現代美術館・関市立篠田桃紅美術空間・岐阜県美術館・画廊光芳堂、岐阜) 個展「百の記念 篠田桃紅の墨象」展(菊池寛実記念智美術館、東京) |
2015年 | 『103歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎)を刊行
Eテレ特集『墨に導かれ墨に惑わされ~美術家・篠田桃紅102歳~』放映 Eテレ『SWITCHインタビュー達人達 100回記念スペシャル放送』放映 |
2017年 | 個展「篠田桃紅 昔日の彼方に」(菊池寛実記念智美術館、東京) |
2018年 | 個展「篠田桃紅 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち」(上田市立美術館、長野)
個展「篠田桃紅展-過去・現在・未来」(増上寺、東京) |
2019年 | 個展「篠田桃紅 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち」(高梁市成羽美術館、岡山・香雪美術館、神戸) |
2020年 | 個展「篠田桃紅 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち」(富山県水墨美術館、富山) |
2021年 | 3月1日、逝去
個展「篠田桃紅 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち」(そごう美術館、横浜) |