
2018年8月9日~10月12日
約30点
2018年8月9日~10月12日
篠田桃紅とリトグラフの出会いは、1960年に遡ります。フィラデルフィアから来日していた摺り師アーサー・フローリーの勧めによって、大型プレス機による2点のリトグラフ作品を制作しました。自身の筆を使い、石版にインクで描写するリトグラフは、水墨で紙に書いてきたやり方をそのまま置き換えることができ、桃紅水墨の特徴である墨色の拡がりや擦れなどの筆の抑揚を可能な限り表現できる版画技法です。
さらに、1999年にはエッチングの制作を試みています。エッチングは、銅版にニードルで線描し、版の凹部分のインクを転写する版画です。手の動きに制約がないため自由に描くことができるエッチングもまた、線表現をする桃紅にとって適した版画技法であるといえます。
今展では、リトグラフの版ならではの重ね刷りによる墨いろの多彩さや、水墨との表情の違いや、エッチングによる硬質な細い線の表現を紹介します。