コレクション

第6回 企画展 篠田桃紅「風のかげ」


「風の影」1998年 墨、胡粉、金泥、和紙

2008年5月1日(木)〜7月19日(土)

墨象作家 篠田桃紅は、季節のうつろい、こころにきざすもの、微かに心を揺らすもの、満ちてくるものなど目に見得ぬものを、墨に託し、かたちにしてきました。それは、幾本もの細い墨の線や点によって生まれる軽やかなリズム、墨の濃淡の余韻によって作られる面と面とのあわいなどにあらわれます。
微かにそよぐ風、澄んだ空気の中で新緑がまぶしい5月。本展では、初夏の明るい光を感じさせ、生命感あふれる生き生きとした線の作品を展示します。閑かな、そしてたえまぬ風が桃紅の筆に流れ、1本1本の線が、桃紅の心のすがたそのものとして描かれつづけます。

「水」2001年 墨、和紙
「水」2001年 墨、和紙

一艸一華
「一艸一華」2000年
墨、銀泥、朱、銀地、和紙

JUNE
「JUNE」 リトグラフ、手彩色


墨ワークショップ−墨のみりょく−を開催いたします。参加者募集中

詳細情報2008年6月28日(土)13:30〜16:00

 企画展 篠田桃紅「風のかげ」関連イベントとして、墨をつかったワークショップを開催します。
桃紅の作品には、勢いのある潔い線や、やわらかいにじみが美しい線、あるいはおだやかに空間を漂う墨の面など、墨のさまざまな表現を見ることできます。
 今回、「墨ワークショップ ─墨のみりょく」では、いろいろな描き方を体験しながら、桃紅の作品に見られるぼかし、かすれ、にじみなどの墨の魅力に迫ります!


篠田桃紅 (しのだとうこう)

作品一覧 (所蔵作品:100点)  ■略歴

<プロフィール>

篠田桃紅1913年、中国大連に生まれる。岐阜は本籍地。5歳の時、父の手ほどきで初めて墨と筆に触れ、以後独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し、墨で抽象を描き始める。1956年渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリ、シンシナティ他で個展を開催。58年に帰国して後は、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や、東京芝増上寺大本堂の襖絵などの大作の一方で、リトグラフや装丁、題字、随筆を手掛けるなど、活動は多岐にわたった。1960年代の激しい筆致はやがて叙情性をたたえ、80年代から90年代にかけては、線はより洗練された間を構成していった。
近年、面と線は寄り添い、朱はあくまで高貴に、墨は静かに鋭く、あるいは控えめに層をなしている。
2005年、ニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。また同年、5メートルを超える絵画を制作するなど、筆勢は留まることがない。