コレクション

第5回 企画展 篠田桃紅「墨匂ふ」

■2008年1月8日(火)−4月26日(土)

日本を代表する墨象作家の一人である篠田桃紅の墨いろの魅力を紹介します。
桃紅は一貫して見えぬものをかたちにしてきました。それは仄かな匂い、微かな光、風や音であり、そして心にきざしたものです。桃紅は、時々の想いや心のうつろいを墨と水に託します。水を得た墨は、生気をおびて紙面にただよい、紙に滲み込み、にじみ、ぼかし、かすれとなってその姿をあらわします。
さまざまな表情をみせる桃紅の墨。その匂いたつ墨の魅力に迫ります。和紙に描かれた墨の作品を中心に、2008年度新収蔵作品、桃紅最新作3点を含めた26点を展示します。

照草(1996年)
照草(1996年)

時間(1958年)時間(1958年)

触(1999年)
触(1999年)

静(1973年)
静(1973年)
画面左から、勢いのある墨の線が和紙の上でかすれ、次第にやわらかく表情を変えていきます。やさしく傾いた薄墨のにじみが、濃墨の線にのびやかさと動きを与えています。


篠田桃紅芸術月間 −2008− 春宵のいろ

詳細情報岐阜現代美術館、関市立篠田桃紅美術空間では、桃紅の生まれ月を「篠田桃紅芸術月間」とし、展覧会にあわせてコンサート、作品鑑賞会などの関連イベントを開催いたします。


篠田桃紅 (しのだとうこう)

作品一覧 (所蔵作品:100点)  ■略歴

<プロフィール>

篠田桃紅1913年、中国大連に生まれる。岐阜は本籍地。5歳の時、父の手ほどきで初めて墨と筆に触れ、以後独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し、墨で抽象を描き始める。1956年渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリ、シンシナティ他で個展を開催。58年に帰国して後は、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や、東京芝増上寺大本堂の襖絵などの大作の一方で、リトグラフや装丁、題字、随筆を手掛けるなど、活動は多岐にわたった。1960年代の激しい筆致はやがて叙情性をたたえ、80年代から90年代にかけては、線はより洗練された間を構成していった。
近年、面と線は寄り添い、朱はあくまで高貴に、墨は静かに鋭く、あるいは控えめに層をなしている。
2005年、ニューズウィーク(日本版)の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。また同年、5メートルを超える絵画を制作するなど、筆勢は留まることがない。