
2016年12月3日
ヴィルトゥオージックな演奏と感情豊かな音楽解釈が人気を呼ぶ1982年ロシア生まれのヴァイオリニスト。常に新たなチャレンジに向け探求を続け、ソリストとしてオーケストラとのレパートリのほか、現代曲や演奏機会の少ない作品にも取り組んでいる。2014/15シーズンは、シベリウス音楽祭のオープニングで、滅多に演奏されないシベリウスのヴァイオリン協奏曲の初版をラハティ響と共演し、中国ツアーでもソリストを務めた。また、ピーター・マクスウェル=デイヴィス、オーガスタ・リード・トーマス、クリストフ・ベルトラン、ミカエル・ジャレルの作品を初演している。バロックや古典派の作品にも関心が強く、2015年にはハイペリオンから、ピリオド・オーケストラのアルカンジェロとの共演で「ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Hob.I-105」の録音をリリース(「ハイドン&モーツァルト:協奏曲集」)。2015/16シーズンは、フィンランド・バロック管との共演でパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番の原典版を演奏。2017年8月にはザルツブルク音楽祭でのソロ・リサイタルが決定している。
これまでに、バレンボイム指揮シカゴ響、メータ指揮イスラエル・フィル、マズア指揮ヴェルビエ祝祭管、アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ、パールマン指揮ロンドン・フィル、テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィル、ノリントン指揮ベルリン・ドイツ響、ペトレンコ指揮ハンブルク北ドイツ放送響などと共演。日本ではN響、読売日響、東響、日本センチュリー響と共演。
室内楽の分野では、2008年に創設したグリンゴルツ四重奏団の第1ヴァイオリンを務めており、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン音楽祭、グシュタート・メニューイン音楽祭等のコンサートで高い評価を獲得している。また、ユーリ・バシュメット、リン・ハレル、ディームート・ポッペン、ニコラ・アンゲリッシュ、イタマール・ゴラン、ペーター・ラウル、ニコラス・ハッジス、ヨルグ・ヴィトマン、デーヴィッド・カドーシュ、アンドレアス・オッテンザマー、アントワン・タメスティ、アレクサンダー・マドツァル等と共演している。
CDは多くの受賞歴をもち、ドイツ・グラモフォンからリリースした「タネーエフ:チェンバー・ミュージック」はミハイル・プレトニョフ、ヴァディム・レーピン、今井信子、リン・ハレルとの共演で、2006年グラモフォン賞を受賞した。近年は、オニックスから「シューマン:ヴァイオリン・ソナタ集」(2010年)、オーキッド・クラシックスから「パガニーニ:24のカプリース」(2013年)、ワーナー・クラシックスからカスプシーク指揮ワルシャワ国立フィルとの共演で「ヴァインベルグ:ヴァイオリン協奏曲、他」(2015年)をリリースし、いずれも高い評価を獲得している。
サンクトペテルブルク音楽院にてタチアナ・リべロヴァとジョアンナ・メタリディに師事した後、ジュリアード音楽院にてイツァーク・パールマンに師事する。1998年、パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで、弱冠16歳で史上最年少での優勝を飾ると同時に、「最年少優勝賞」と「カプリース最優秀演奏賞」を併せて受賞した。
現在、チューリッヒ芸術大学の教授を務め、グラスゴーのロイヤル・スコティッシュ・アカデミーでインターナショナル・フェローとして後進の指導にあたっている。使用楽器は1742-43年製のグァルネリ・デル・ジェス(個人所蔵)。
http://ilyagringolts.com/